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演題詳細

P-030:
抗菌材表面に形成されるバイオフィルム ―初期の性状変動―
○安田 怜子1, 大和 優作2, 土屋 雄揮2, 江田 志磨2, 森崎 久雄1,2 1立命大・院生命, 2立命大・生命 sb0024fp@ed.ritsumei.ac.jp
 抗菌とは、「細菌の増殖を抑制すること」と定義されている。この抗菌効果をもつ材料である「抗菌材」は、近年、身の回りの様々なところ(台所シンクや工場のタンク等)で使用されている。
 抗菌材の効果については、これまで実験室レベル(単一菌株、短期間)の実験で評価されてきた。そのため、実際に抗菌材を使用する現場で抗菌材がどのような効果を発揮するかは明らかでなかった。我々はこれまで、様々な現場環境(屋内や屋外)で抗菌材を使用し、その効果を調べてきた。その結果、抗菌材表面にバイオフィルム(微生物の共同体)が形成されることを見出した。長期間(1~5年間)使用した抗菌材表面には、非抗菌材表面と同程度かつ、類似した性質(菌数や細菌群集構造)のバイオフィルムが形成されていた。一方、短期間(1週間~3ヶ月間)の使用では、抗菌材表面で菌数が抑制される傾向が見られた。ただし、1週間目の時点で、すでに、抗菌材表面に多くの菌が見られたため、より期間を短くして調べる必要が生じた。そこで、本研究では、形成ごく初期(1日~1週間)における、バイオフィルムの性状および抗菌材の影響を明らかにすることを目的とした。
 屋内(台所のシンク)および屋外(自然池)に基質(抗菌材および非抗菌材)を1週間設置した。それら基質表面を定期的(設置後1, 3, 5, 7日目)に顕微鏡で観察し、菌数、酸性ムコ多糖量を測定した。屋内では、設置後1日目から両基質表面で菌以外の付着物が確認された。ただし、付着物の量は、抗菌材表面の方が多い傾向にあった。一方、菌数は、両基質ともに設置後1日目から経時的に増加し、設置後5日目以降に著しく増加していた。その著しい増加と共に、菌が密集している部分が増え、抗菌材表面で非抗菌材表面よりも菌数が少なくなる傾向も見られるようになった。また、酸性ムコ多糖は、期間中、ほとんど検出されなかった。以上の結果から、抗菌材表面には数日のうちに菌が付着し、付着した菌が増殖するときに、その増殖を抗菌材が抑制する可能性がある。屋外では、設置後1日目から屋内よりも多くの付着物が付着している様子を確認している。発表では、屋外も含めて形成ごく初期のバイオフィルムの性状と抗菌効果について議論する。
 今後は、バイオフィルム内の細菌の群集構造、活性などを調べ、バイオフィルムへの抗菌材の影響の詳細を明らかにする予定である。
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