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演題詳細

P-070:
PacBio RS IIによる完全長16S rDNA配列を用いた高解像度微生物群集構造解析
○佐藤 万仁1, 下地 真紀子1, 城間 安紀乃1, 照屋 邦子1, 安次嶺 典子1, 南 茉緯子1, 中野 和真1, 大木 駿1, 中西 哲大1, 新里 美寿々1, 保 日奈子1, 養王田 正文2, 池上 健太郎2, 會田 悠人2, 平野 隆1 1沖縄綜研・研究開発, 2農工大・工 kazuhito.satou@oias.or.jp
微生物群集構造を俯瞰するための方法として、次世代シーケンサーによる16S rDNA配列を用いた解析が広く普及している。次世代シーケンサーは、それが産出する膨大な配列データを背景とした網羅的な解析を提供するが、一方で、2つの潜在的な問題が存在していることに留意する必要がある。1つは、シーケンシング工程に含まれるPCR増幅のバイアスに起因する菌種・菌数の偏りの問題であり、もう1つは、連続して読み取れるリード長が短いために16S rDNA配列のさらに一部の領域のみを利用せざるを得ないことに起因する分類・同定の解像度の問題である。16S rDNA配列の全長は高々約1,600 bであるが、これに対し次世代シーケンサーのリード長は数100 bほどである。また、次世代シーケンサーでは、リード長の短さをデータ量で補填するために内部的なPCR増幅が必須となっている。PacBio RS IIは、1分子リアルタイムテクロノジーを実装した第3世代のDNAシーケンサーである。平均で>20 kb、最大で>60 kbという極めて長いリードを産出し、かつ99.9% @ 10 xから99.999% @ 30 xという非常に高いコンセンサス精度を有する。また、PCR増幅を必要としないことからGCバイアスに無縁である。このため、PacBio RS IIでは、どのような生物種に由来する16S rDNA配列であっても偏りなくその全長を99.9%以上の精度で解読可能であり、本来の微生物群集構造を正しく反映した高解像度な解析を実現することが出来る。本大会では、同一の微生物群集を対象として、PacBio RS IIによる完全長16S rDNA配列を用いた解析と、一般に行われているMiSeqによる16S rDNA配列V3-V4領域を用いた解析との比較を行い、それぞれの特徴などについて考察し発表する。
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