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演題詳細

P-099:
淡水湖沼より分離した新規好酸性細菌の特徴づけ
○岡本 怜, 小島 久弥, 福井 学 北大・低温研 r.okamoto@pop.lowtem.hokudai.ac.jp
Acidocella属は1995年に提唱されたAlphaproteobacteria綱Rhodospirillales目Acetobacteraceae科に属する細菌群である。Acidocella属の細菌として、これまでに3種が正式に記載されている。これらの他、多くの研究が報告されている“Acidocella aromatica”が知られている。この属に含まれる細菌は酸性土壌や鉱山排水などの酸性環境に広く存在しており、既知の種は全て好酸性かつ中温性の従属栄養細菌である。本研究の目的はAcidocella属に属する新規好酸性細菌Ok2G株の系統的・生理生化学的特徴付けを行うことである。Ok2G株は北海道千歳市に位置する淡水湖沼の湖水を接種源とした酸性・好気的条件下の集積培養系から得られた。菌株の純化作業は限界希釈法を用いて行った。Ok2G株の16S rRNA遺伝子解析の結果では最近縁種である“Acidocella aromatica”と97%の配列相同性を有することが示された。系統樹上においてOk2G株はAcidocella属の他の種から独立した位置にあることが示された。Ok2G株の増殖可能なpH域は3.0-6.0で、増殖可能な温度域は4-35℃であった。Ok2G株の細胞は幅0.6-0.8 μm、長さ1.0-2.8 μmの短桿状で、運動性はなく、グラム染色性は陰性であった。Ok2G株のカタラーゼ活性は弱陽性で、オキシダーゼ活性は陰性であった。グルコースやスクロースなどの糖類に加え、ピルビン酸、エタノール、メタノールなどを炭素源及びエネルギー源として利用した。“Acidocella aromatica”は安息香酸を含む芳香族化合物を広く利用することが知られているが、Ok2G株では安息香酸を利用しなかった。以上の結果より、Ok2G株がAcidocella属における新たな種を代表する細菌であることが示唆された。
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