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演題詳細

P-123:
黄砂およびPM2.5の沈着地におけるバイオエアロゾルの微生物群集構造の変化
○牧 輝弥1, 笹川 修太郎1, 石丸 佳苗1, 黒崎 泰典2, 大西 一成3, 洪 天祥4, 陳 彬5, 長谷川 浩1, 岩坂 泰信6 1金沢大理工, 2鳥取大乾地研セ, 3山梨大院総合研究部, 4韓国外語大学, 5中国科学院大気物理, 6滋賀県立大 makiteru@se.kanazawa-u.ac.jp
【目的】中国大陸から日本へと越境輸送されるエアロゾルには,砂漠地帯に由来する鉱物粒子や大陸沿岸部の工業地帯からの汚染粒子に加え,微生物が多く含まれ,その生体・環境影響に市井の関心が集まりつつある。越境輸送される際,大気中浮遊微生物群(バイオエアロゾル)のバイオマスおよび群集構造は変化すると予想されるが、大陸側と日本側で長期間的なバイオエアロゾルの動態変化を調査し比較した研究例は乏しい。本研究では、黄砂現象が見られる春季(2015年3月から6 月)において韓国ソウル市と鳥取県米子市において大気粒子を継時的に捕集し,蛍光顕微鏡観察によって大気粒子濃度を調査し,超並列シーケンス解析を使って大気中の細菌群集構造変化を調査した。【実験】2016年3月から6月にかけて鳥取県米子市の建物屋上高度10mにおいて大気粒子を捕集した(鳥取大学協力)、韓国ソウル市でも同様に捕集調査を実施した。大気粒子を孔径0.2umのフィルター上にエアポンプを使って吸引捕集した。粒子を捕集したフィルターに1 %ホルムアルデヒドおよびDAPI染色液を加え,粒子に含まれる核酸粒子を染色し、蛍光顕微鏡観察によって大気中の粒子濃度を識別して計測した。捕集した大気粒子に含まれるゲノム(g)DNAをフェノール‐クロロホルムを使って抽出し,gDNAを鋳型としたポリメラーゼ連鎖反応(PCR法)で16S rDNA核酸塩基配列を増幅させた。増幅産物を超並列シーケンサーで分析し,細菌群集構造を解析した。【結果と考察】大気粒子濃度の変化にともない,細菌群集構造は変化した。特に,黄色粒子数が増加すると細菌の遺伝子タイプが増え,多様性が増大した。相対存在比が3.00 %以上の遺伝子タイプで比較すると、最も多様性になった調査日では11タイプ、多様性が低い調査日では6タイプが確認された。また多様性が増大した調査日には黄砂あるいはPM2.5の飛来が確認でき、日本列島の外部から細菌が飛来したと推測できる。
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