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演題詳細

P-138:
脱塩素化細菌Geobacter sp. AY株が保有する脱塩素酵素の機能解析
○小林 直央1, 押木 守1, 吉田 奈央子2, 幡本 将史3, 山口 隆司3, 荒木 信夫1 1長岡高専・環境都市工学科, 2 名古屋工業大学, 3長岡技術科学大学 ac28829d@st.nagaoka-ct.ac.jp
目的: 脱塩素化細菌Geobacter sp. AY株は電子供与体としてH2, 酢酸, ピルビン酸, 電子受容体として1,2-ジクロロエタン, 硝酸, フマル酸, 鉄(III)を用いることができる細菌であり, 嫌気性脱塩素反応によって, 1,2-ジクロロエタンをエチレンに分解する. 1,2-ジクロロエタンは塩化ビニルモノマーと他の塩素系溶剤の合成に主に使用されており, 地下水汚染物質として工業排水中から水生環境に放出されている. また, 化学物質排出管理促進法の第1種指定化学物質に指定されているため, 1,2-ジクロロエタンの無毒化は重要な課題となっている. Geobacter sp. AY株は1,2-ジクロロエタンをエチレンに分解する際に中間体である塩化ビニルを生成しないことが明らかとなっており, 注目されている. そのため, Geobacter sp. AY株が保有する脱塩素酵素を精製し, 酵素学的特性を調べることを目指した.
方法: 脱塩素酵素は酸素感受性が高いことが報告されているため, 以下の実験は嫌気チャンバー内(N2 95%, H2 5%)で実施した. 菌体を100 mM PO4 (pH 7.0)に懸濁させ, 超音波処理によって細胞を破壊した. 粗抽出液を超遠心分離し可溶性画分と不溶性画分に分離した. 膜タンパク質である脱塩素酵素は不溶性画分に含まれており, 不溶性画分へCHAPS(終濃度1%)を加え, 2時間インキュベーションすることで脱塩素酵素の可溶化を行った. 脱塩素酵素の精製は液体クロマトグラフィーを用いて行い, 限外ろ過(MWCO: 30 kDa)によって濃縮した. 脱塩素酵素の純度はポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)によって確認した. 脱塩素酵素による1,2-ジクロロエタンの還元活性試験は, 電子受容体として1,2-ジクロロエタン, 電子供与体としてmetylviologenを用いた反応バッファーを作成し, 吸光度(578 nm)測定により測定した.
結果: SDS-PAGEの結果, AY株菌体から脱塩素酵素が精製できたことが確認できた. 今後, 脱塩素酵素が精製されているフラクションを回収し, 1,2-ジクロロエタンの還元活性試験を行う予定である.
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