Imgheader01

第31回大会ホームページへ

演題詳細

P-137:
アンモニア酸化古細菌Nitrososphaera viennensis由来の銅含有型亜硝酸還元酵素NirKの異種発現および酵素学的解析
○小林 駿1, 押木 守1, 志田 洋介2, 幡本 将史3, 山口 隆司3, 小笠原 渉2, 荒木 信夫1 1長岡高専・環境都市工学科, 2長岡技術科学大学・生物機能工学, 3長岡技術科学大学・環境システム工学専攻 ac28828h@st.nagaoka-ct.ac.jp
硝化反応は地球上における窒素循環において重要なプロセスである. 硝化反応におけるアンモニア酸化は長らくアンモニア酸化細菌 (AOB) によって担われていると考えられてきた. しかし, 近年の研究によりアンモニア酸化を担う古細菌, アンモニア酸化古細菌 (AOA) が発見された. AOAは海洋プランクトンの約40%を占め, 海洋, 土壌中におけるアンモニア酸化遺伝子(amoA)の転写量もAOBを大きく上回るなど, 地球上におけるアンモニア酸化に大きく関与していることが示唆されている. AOAはヒドロキシルアミン酸化還元酵素をコードする遺伝子を保有していないことなどAOBと異なるアンモニア酸化経路を持つと考えられている. また, AOAはアンモニア酸化の過程においてNOを選択的に除去するとアンモニア酸化活性を失うこと, 銅含有型亜硝酸還元酵素NirKをコードする遺伝子が存在していることから, NOがAOAのアンモニア酸化において重要な役割を担っていることが示唆されている(J. A. Kozlowski et al., 2016). そこで本研究では, 土壌性アンモニア酸化古細菌Nitrososphaera viennensisの保有する銅含有型亜硝酸還元酵素NirKについて, 大腸菌を用いた異種発現を行い、NirKの酵素学的特な特性を明らかにすることを目指した. N. viennensisのnirK遺伝子をPCR増幅し, pET28aベクターに挿入しプラスミドを作製した.プラスミドをE. coli BL21DE3へ形質転換し, IPTG(終濃度0.1mM)により発現誘導を行った。菌体を超音波処理により破砕した後, 遠心分離により可溶性画分と不溶性画分に分離した. 可溶性画分をHis-tagタンパク質精製用カラム(HisTrap HP ) に供し, NirKをイミダゾールによって溶出させた. ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)の結果、NirKが精製されたことを確認しており、今後, 精製されたNirKについて酵素学的な解析を行う予定である.
PDF