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演題詳細

P-190:
海水性白点虫を対象とした簡易検出法の開発
○高崎 一人1, 松平 崇弘1, 布藤 聡1, 伊東 隆臣2, 宮川 訓2, 伊藤 このみ3, 宮側 賀美3, 西田 清徳3, 工樂 樹洋4 1(株)ファスマック, 2NIFREL, 3大阪・海遊館, 4神戸理研 ktakasaki@fasmac.co.jp
【目的】海水性白点病はナンヨウハギ(Paracanthurus hepatus)やクマノミ(Amphiprion ocellaris)をはじめとした多くの観賞魚で問題となる代表的な魚病のひとつである。白点病はしばしば水槽のような閉鎖的な環境において発生するため、ひとたび白点が確認されると同じ水槽内の他の魚に連鎖的に感染が拡大する。そのため、水槽内の海水の入れ替えや数週間にも及ぶ薬剤治療(硫酸銅など)等の対策を行わなければならない。以上より、白点病の早期発見・対策が非常に重要であるが、現在までに現場レベルで検出可能な簡易検出キットは存在していない。そこで我々は海水性の白点病を引き起こす白点虫(Cryptocaryon irritans)を迅速・簡便に検出可能な新しい手法の開発に取り組んだ。
【方法】はじめに、白点病が起きている水槽底に付着しているシストを採取し、18S rRNA遺伝子配列のシーケンス解析を行った。次に、白点病が発生した水槽の海水を1L採取し、Miyaらの方法に従い、環境DNAを採取した。採取したDNAはDuretらの方法に従い、18S rRNA遺伝子のV4領域を対象としたアンプリコン解析を行った。さらに、18S rRNA遺伝子の特定領域を検出マーカーとして利用し、DNAクロマトによる白点虫検出系の構築を行った。
【結果・考察】採取したシストよりDNAの18S rRNA遺伝子配列を決定し、白点の原因微生物が従来知られている白点虫(Cryptocaryon irritans)であると推測された。18S rRNA遺伝子の部分配列を利用したアンプリコン解析では、白点病が発生している水槽内の海水には白点虫由来のDNAが含まれていることが明らかとなった。さらに18S rRNA遺伝子のうち、白点虫に特異的な配列をマーカーとすることで、DNAクロマトにより白点虫を迅速・簡便に検出することが可能であった。現在、様々な水槽由来の海水を採取し、本手法による白点病検出の検討を進めている。
(参考文献)
Miya et al.: R Soc Open Sci 2(7):150088, 2015
Duret et al.: FEMS Microbiol Ecol 91(5) fiv037, 2015
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