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演題詳細

P-192:
シロアリ腸内原生生物の細胞表面に共生するTreponema属細菌3種のシングルセルゲノム解析
○雪 真弘1, 桑原 宏和2, 本郷 裕一2,3, 大熊 盛也1,3 1理研 CSRS, 2東工大・院生命理工, 3理研 BRC・JCM masahiro.yuki@riken.jp
シロアリの腸内には、数種から十数種の原生生物と数百種以上の細菌が共生している。さらに、これらの原生生物の細胞内、細胞表面にも数種の細菌が共生しており、複雑な微生物叢となっている。共生原生生物の1種であるPyrsonympha sp.の細胞表面には、3種のTreponema属細菌(Cluster I, Cluster IIA, Cluster IIB)が共生していることが報告されている。しかし、それぞれの細菌の機能に関しては分かっておらず、なぜ宿主表面上に同属細菌3種が共生しているのかは不明であった。本研究では、各細菌の役割を明らかにするため、シングルセルゲノム解析技術を駆使し、3種のTreponema属細菌のゲノム配列の決定を試みた。 マイクロマニピュレーションで宿主であるPyrsonympha sp.を20細胞集め、破砕することにより、Treponema属細菌を含んだ溶液を調製した。この溶液から、セルソーターを用いて細菌細胞をシングルセルに分離後、Phi29 DNA polymeraseにより全ゲノム増幅を行い、複数の3種のTreponema属細菌の全ゲノム増幅産物を取得した。この全ゲノム増幅産物を用いてMiSeq及びPacBioにより、ゲノム配列データの取得を行った。これまでに、ゲノム完全性が、Cluster Iのもので69%、Cluster IIA で75%、Cluster IIB で40%のドラフトゲノム配列が得られた。現在、これらのドラフトゲノム配列を用いてアノテーションを行っている。本大会では、シロアリ共生系での重要な機能である窒素固定、還元的酢酸生成やリグノセルロース分解等について、各細菌の役割分担を議論する。
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