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難培養性細菌群Armatimonadetes門に属する新規細菌LA-C6株によるウキクサ亜科植物の生育促進
ウキクサ亜科植物の多くは葉と茎が融合した葉状体と根で構成される浮遊性の水生植物で、デンプンやタンパク質を多く含有することから、バイオエタノール等のエネルギー生産資源や家畜の飼料としての利用が検討されている。このような背景から、我々はウキクサ亜科植物の生育促進効果を示す微生物(Plant Growth Promoting Bacteria;PGPB)を検索するとともに、それらを利用したバイオマス生産能の高いウキクサ亜科植物の創製を試みている。一方、Armatimonadetes門細菌(以前はCandidate phylum OP10として知られる)は難培養性の細菌群で、既知菌種としてはArmatimonas rosea,Chthonomonas calidirosea,Fimbriimonas ginsengisoliの3種が報告されるのみであるが、我々はこれまでにウキクサ亜科植物の葉状体または根から上記の既知菌種とは系統の異なる4株のArmatimonadetes門細菌の分離培養に成功している。今回はこれら4株のうち、アオウキクサの葉状体から分離されたLA-C6株(F. ginsengisoliと92%の相同性(16S rRNA遺伝子))においてウキクサ亜科植物に対する生育促進活性(PGP活性)が新たに認められたため、その性質について報告する。LA-C6株を無菌のコウキクサに接種・共培養し、無菌対照区との比較によりPGP活性を評価した。その結果、本菌株は無菌対照区と比べて葉状体数を最大2.8倍のPGP活性を有することが分かった。また、複合微生物群集存在下(下水二次処理水中)においても最大2倍の活性を示し、これは既報のウキクサ亜科植物のPGPBであるAcinetobacter calcoaceticus P23株のPGP活性とほぼ同等であった。なお、陸生植物のPGPBが有する代表的な生育促進因子(シデロフォア生産能、インドール-3-酢酸生産能、リン酸可溶化能)を測定したところ、シデロフォア生産能の活性が確認された。現在、LA-C6株のウキクサに対する定着性、局在性を調べるために、本菌株を特異的に検出できるPCRプライマーの作製について検討中である。