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演題詳細

P-238:
シロアリ腸内ファージメタゲノム解析と宿主腸内細菌の同定
○麥島 雄太1, 伊澤 和輝1, 河合 幹彦1, 桑原 宏和1, 雪 真弘2, 大熊 盛也3, 本郷 裕一1,3 1東工大・院生命理工, 2理研 CSRS・BMEP, 3理研 BRC・JCM mugishima.y.aa@m.titech.ac.jp
 シロアリの高効率な木質分解能力の大部分は腸内微生物群集が担っている。その共生微生物群集はシロアリとシロアリに近縁なゴキブリのみに見られる特異な系統群で構成され、1.7億年以上共進化してきたと推定されている。腸内微生物群集構造はシロアリ種内で高度に保存され、シロアリとの間で、また微生物種間で強固な共生関係を持つと考えられる。シロアリ腸内原生生物と原核生物の大多数は培養不能であるが、培養非依存的手法による詳細な研究が行われつつある一方で、ファージ(ウイルス)群集に関してはほとんど研究例がなかった。本研究では、シロアリ腸内ファージ群集構造の解明と各腸内細菌種に感染するファージの特定を目的とし、ファージを含むウイルスメタゲノム解析と、腸内細菌ゲノム上のCRISPRスペーサー配列に対応するファージゲノム断片の同定を試みた。CRISPRは多様な原核生物が持つ対外来DNA防衛機構で、CRISPR領域には、侵入した外来DNAの断片を取り込んだ30塩基程度の「スペーサー配列」が「リピート配列」に挟まれて数10から100本程度並んでいる。 シロアリ腸液中のウイルス画分からDNAを抽出し、MiSeqを用いてメタゲノム配列データを取得、相同性検索などによりファージゲノム断片の同定を行った。一方、同シロアリ種の腸内原生生物が保有する細胞内共生細菌のゲノムを解読し、同ゲノム上に存在するCRISPR領域のスペーサー配列とウイルスメタゲノムデータの照合を行った。その結果、多くのスペーサー配列が複数のファージ断片配列とほぼ一致した。これにより、シロアリ腸内では、原生生物細胞内共生細菌にもファージが感染し、それに対抗するために共生細菌がCRISPR/Casシステムを保持していることが明らかとなった。
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