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演題詳細

S1-2:
電気化学でもたらす生命の起源
○北台 紀夫1, 山口 晃3, Li Yamei2, 山本 正浩4, 中村 龍平2, 高井 研4 1東工大・地球生命研究所, 2理化学研究所 環境資源科学研究センター 生体機能触媒研究チーム, 3東京工業大学 物質理工学院, 4海洋研究開発機構 深海・地殻内生物圏研究分野 nkitadai@elsi.jp
『電気化学』,『生命の起源』というキーワードを見て,多くの人が第一に思い浮かべる研究はMillerとUreyが1953年に行った火花放電実験であろう(Miller, 1953).彼らは原始大気にカミナリが落ちる想定で模擬実験を行い,数種のアミノ酸が生成することを示した.この成果に対する反響は大きく,今でも多くの生物学・化学系の教科書で生命起源の第一ステップとして紹介されている.しかし,原始地球の表層環境についての理解は当時から大きく変化し,実現可能性について疑問が持たれるようになった.また,そもそもアミノ酸が大気から海に大量に供給されたとして,そこから生命システムが如何にして生じてくるかは全く説明できない状況が続いていた.近年,深海熱水噴出孔の調査から,噴出孔の内から外へ向かう定常的な電子の流れが発見された(Nakamura et al., 2010; Yamamoto et al., unpublished).この電気発生場は海水中の二酸化炭素を還元・固定し,生体分子を生じていく原始的代謝システムを駆動した可能性がある.本発表ではこの新たなシナリオを紹介し,上述した2つの条件(原始地球における実現可能性,生命システムとの関連性)を満たしうるものであることを示す.原始代謝の発生過程を検証するための室内実験についても紹介する.
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