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演題詳細

P-001:
土壌単離細菌による高濃度ディーゼルモデル化合物の生分解
○竹下 俊英, カナリー ロバート 横浜市大・国総学部・生命環境 i140392a@yokohama-cu.ac.jp
何種類もの化学物質により構成される石油成分は、燃料や化学製品等の多様な場面で人々の生活に関わっている。この石油という混合物は、その多くの割合を脂肪族や芳香族炭化水素が占めているために水と混合すると石油成分と水とで二層に分画される。同時にその難水溶性から微生物による生分解が起こりにくく、また高濃度の場合は細胞毒性や酵素の不活性化が懸念される。このような物質を効率よく代謝することが可能な微生物は、バイオレメディエーションや疎水性化学製品に関連するバイオプロダクション等において有用であることが考えられる。本研究では、土壌から単離されたグラム陰性細菌のKK6株においての非水溶性炭化水素の生分解能について調査を行った。この株は、n-hexadecane (水溶性0.1 ppb以下)を単一炭素源として生育可能であり、1,000 mg/Lのn-hexadecaneを96時間でほぼ全て生分解することが可能である。41種類の脂肪族、芳香族炭化水素で構成したディーゼルモデル化合物50,000 mg/L (5% w/v)にこの株を添加したところ、微生物の生育と脂肪族炭化水素の生分解を確認することができた。この環境で培養35日目の微生物含有試料と非含有試料の抽出物をガスクロマトグラフィーで解析を行い比較したところ、炭素数12から24と広い範囲でのn-alkaneが最大で35% KK6株に生分解を受けていたことが示唆された。更なる調査では、アスファルテンの誘導体として設定した非水溶性物質の1-dodecylnaphthaleneを1000 mg/L含む培地においてKK6株の生育が確認された。この抽出物をLC/ESI-MS/MSを用いて解析を行ったところ、5-(1-naphthyl)pentanoicや6-(1-naphthyl)hexanoic等の様々な長さの直鎖アルキル基を持つナフテン酸が見受けられ、KK6株が脂肪性側鎖の酸化により生分解を行っていることが示唆された。16S rRNA遺伝子解析の結果、KK6株はPsudomonas aeruginosaと大変近い種であることがわかった。同時に、KK6株のアルカンヒドロキシラーゼ(alkB)をコードする遺伝子配列の解析では、この遺伝子が既知のP. aeruginosaalkB遺伝子と近い関係にあることが示唆された。
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