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演題詳細

P-011:
醤油製造廃水を処理対象とした低温UASB反応器内グラニュール汚泥の微生物群集構造解析
○當房 陸1, 山田 真義1, 黒田 恭平2, 成廣 隆3, 山内 正仁1, 平片 悠河 4 1鹿児島工業高等専門学校, 2北九州工業高等専門学校, 3産業総合技術研究所, 4長岡技術科学大学 b11183@kagoshima-ct.ac.jp
【目的】醤油は日本で年間約80万kL生産されている調味料である.一般的な醤油の製造最終段階で珪藻土ろ過を行うが,この過程で発生した残存廃水は透明度が低く,高いCOD濃度(約150,000 mgCOD/L)をもつ有機性廃水である(以下,醤油製造廃水).本研究では,低温嫌気性上昇流汚泥法(UASB)と下降流スポンジ懸垂法(DHS)を組み合わせた低温UASB-DHSシステムにより醤油製造廃水の連続処理実験を行い,その処理性能の評価を行った.また,UASB反応器内のグラニュール汚泥を構成する微生物の群集構造を解析し,本システム内の有機物分解機構の解明に繋がる微生物学的知見の収集を試みた.【方法及び結果】Gas Solids Separatorを含めたUASB反応器の液容積は10L,DHS反応器のスポンジ容積は20.8Lとした.UASB反応器は20℃に制御し,DHS反応器内は無加温で外気温に依存するものとした.UASB反応器には中温条件(35℃)で醤油製造模擬廃水を処理していたグラニュール汚泥,DHS反応器には下水処理場の返送汚泥を植種した.処理対象としている醤油製造廃水は市販の醤油とほぼ同等の組成であるため,市販の醤油を水道水で希釈したものを供給廃水として用いた.供給廃水のpH調整にはNaOH(24%)を用いてUASB反応器内のpHが6.5-7.5に維持されるように調整した.また,UASB反応器のCOD容積負荷は,供給廃水のCOD濃度の上昇及びHRTの短縮によって3.6から24 kgCOD/m3/dayに段階的に上昇させた.UASBグラニュール汚泥のサンプリングは,運転248日目,397日目,783日目,906日目に行った.その結果,本システムは,流入COD濃度6,000 mgCOD/L及びCOD容積負荷24 kgCOD/m3/dayの条件下で87±7%のCOD除去率を達成した.また,Illumina MiSeqを用いた16S rRNA遺伝子アンプリコン解析の結果,UASB反応器内では,全運転期間に渡りEuryarchaeota門,Firmicutes門,Synergistetes門,Bacteroidetes門に属する微生物が優占して検出されており,これらの微生物群が醤油製造廃水に含まれる有機物の分解を担っていることが示唆された.
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