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演題詳細

P-042:
クローンライブラリー法による徳島県産阿波番茶茶葉の微生物解析
藤井 美月1, 永井  航太2, 藤本 大樹2, 前川 成美2, 秋吉 研二3, 井上 翔太3, ○佐藤 高則4 1徳島大・総科・環境, 2徳島大・総科・生化, 3徳島大院・総科・生化, 4徳島大院・理工・生化 tsatoh@tokushima-u.ac.jp
過去の研究において我々は,種々の地域で生産される発酵食品中の微生物相について,クローンライブラリー法による検討を行っており, モンゴル国発酵乳中に存在するLactobacillus属細菌など乳酸菌の系統解析や(1)、和歌山県で製造されるなれずし中の微生物相について, Lactobacillus属やLactococcus属など乳酸菌の系統解析を行った(2).こうした発酵製品中のクローンライブラリー法による微生物に関する知見は,これまで利用が困難であった難培養性微生物の存在を明らかにするとともに,これらを有効利用する上で手掛かりとなる知見を与えると期待される.
一方四国地方には,碁石茶,黒茶,阿波番茶などの発酵茶が複数存在する.こうした発酵茶を飲用する地域は日本でも珍しく,その微生物相や成分に関して注目が集まっている.阿波番茶より単離培養された細菌ではLactobacillus plantarumKlebsiella pneumoniaeが主要な細菌との報告もあるが(3),その他の微生物相については不明な点も多い.そこで本研究では,徳島県でのみ生産される阿波番茶に着目し,阿波番茶中の微生物相について知見を得るために,クローンライブラリー法による16S rRNA遺伝子の解析を行った.
まず,上勝町産および旧相生町産の阿波番茶試料4種の洗浄液より,各々ゲノムDNAを抽出し,これらを鋳型としてE.coli 16SrRNA遺伝子に相同なprimerを用いてPCRを行ったところ,各試料において約1.5kbpの増幅断片が確認された.PCR産物をpGEM-Tベクターに挿入し,計70クローンをそれぞれDNA塩基配列決定および相同性解析を行った.その結果,茶葉に付着していたと考えられるStaphylococcus属やStreptomyces属, Burkholderia属細菌など一般細菌が多く検出されたが,発酵性細菌のPropionibacterium属,Paenibacillus属,Klebsiella属細菌の16S rRNA遺伝子と相同なクローンや,さらにLactobacillus属( L.plantarum, L. fermentum, L. vaccinostercus) およびLeuconostoc mesenteroidesなど乳酸菌と相同なクローンも見られた. また、4種の阿波番茶試料ではそれぞれ異なった微生物に相同なクローンが検出されており、阿波番茶でも製品により含有される微生物に相違のあることが示唆された。(1)Satoh, T. et al. ISME15 Abstract book, p.55-56, 2014.,(2)浜地ら, BMB2015合同大会要旨集, 1P804, 2015,(3)岡田ら, Nippon Shokuhin Kagaku Kogaku Kaishi, 43, 1, p.12~20, 1996
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