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演題詳細

P-046:
海洋性Pseudomonas sp.の産生するセルラーゼの性状
○田中 大貴1, 渡邉  誠也1,2, 松原 孝博3, 鈴木 聡1 1愛媛大CMES, 2愛媛大農, 3愛媛大南水研セ c641018c@mails.cc.ehime-u.ac.jp
【目的】養殖用配合飼料の主原料は輸入に依存している。今後持続可能な養殖のためには豊富にある国内の植物素材の活用が有望である。しかし、海産養殖魚はセルロースを直接分解できないため、植物セルロースをセロオリゴ糖として与える必要がある。本研究では、海産草食魚を宿主とするセルラーゼ産生菌が有望なセルラーゼ起源と考えた。現在まで、海産草食性魚腸内のセルラーゼ産生菌を単離した報告は1例のみであり、その酵素の性状についての報告はない。今回は海産魚腸内からセルラーゼ産生菌を単離し、菌の生育条件およびセルラーゼの性状解明を行った。【方法】クロメジナ(Girella leonina)消化管内から1/10 Marine Agarにセルラーゼ基質Azurine-Crosslinked Hydroxyethyl Cellulose(AZCL)を添加した培地を用いてセルラーゼ産生菌を単離した。単離株は16S rRNA遺伝子による系統解析を行い、生育の温度・塩分・pH依存性を調べた。セルラーゼは培養上清から硫安沈殿で濃縮し、活性検定はCarboxymethyl cellulose(CMC)を基質とし、生成する還元糖を2-Cyanoacetamide法で定量した。【結果】3株のセルラーゼ産生菌が単離され、いずれの株もPseudomonas sp.であった。3株は30℃、人工海水、pH 7-8が至適発育条件であったことから、海洋環境での生育に適した種であると考えられた。 セルラーゼ活性のもっとも高いGL-2株のセルラーゼは、活性至適を60℃、pH6-8で示した。20℃での残存活性は32.8%であった。市販セルラーゼ(エンチロン)では20℃の残存活性は17.1%であったので、GL-2株の酵素は、高温至適ではあるが、低温でも活性を保つことが分かった。本株の養殖魚腸内でのプロバイオティクス、あるいは酵素の工業的利用などが今後の課題である。
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