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演題詳細

P-047:
海洋中の1,4-ジオキサン分解細菌の解析
○安部 智子1, 本田 力1, 鎌田 泰彰2, 椎葉 究1 1東京電機大・理工, 2東京電機大・院理工 t_abe@mail.dendai.ac.jp
 1,4-ジオキサンは水や他溶媒に対する親和性が高く、優れた溶媒として従来から様々な用途で使用されてきた。主な用途としては、有機塩素系化合物の安定剤として利用されているほか、ワックスや化粧品、農薬、ゴム、プラスチック、医薬品の溶媒等、幅広い分野で用いられきた。しかしながら、本化合物の発がん性が示唆され、国内では、H21年11月に「健康保護に係る水質環境基準項目」及び「地下水環境基準項目」に追加され、基準値は、共に 0.05 mg/L 以下と定められた。国内の超過基準の報告例としては、廃棄物処理場の近くにおいて数件確認されているほか、河川等でも報告例がある。この1,4-ジオキサンの浄化法として我々は、時間を要するものの低コストであり二次環境汚染のリスクが低く複雑な管理を必要としない微生物によるバイオレメディエーション法を検討している。
 近年、1,4-ジオキサン分解能を持つ微生物が僅かではあるが陸圏で発見されている。本研究では、陸圏よりも貧栄養状態かつ厳しい環境条件である海洋に生息する微生物群から1,4-ジオキサン分解菌の探索を行った。海水からの1,4-ジオキサン分解菌の集積には、土壌から迅速・簡便に難分解性有機汚染物質を集積・単離できる土壌・木炭還流法1)を応用した。また、還流液中の1,4-ジオキサン濃度は、我々が開発した高速液体クロマトグラフィーによる測定法2)を用いて継時的に測定した。その結果、1,4-ジオキサン分解能を持つ可能性のある細菌がいくつか単離された。単離されたこれらの細菌について、16S rRNA遺伝子配列を用いた系統解析を行うとともに、1,4-ジオキサン分解に関わる遺伝子の探索を行い、海洋中に存在する1,4-ジオキサン分解菌について解析した。
1) Takagi, K. et al. Appl. Environ. Microbiol. 75, 4452-4458 (2009)
2) Matsui, R. et al. Biodegradation. 27, 155-163 (2016)
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