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白神山地土壌から分離した放線菌に関する研究
○ツァンバ オユンゲレル, 松尾 平三, 殿内 暁夫
弘前大・院農
【目的】白神山地の土壌から分離したActinobacteria門のActinospicaceae科に所属する新規放線菌株P311-7を新規分類群として記載するために、生理学的・生化学的・系統学的・分子系統学的な特徴解析を行ったので報告する。【方法】 P311-7は2014年05月21日に採取した弘前大学附属白神自然観察園の土壌から、低栄養の土壌抽出液PPM培地を用いた希釈平板培養法により分離した。本菌株の生理学的・生化学的・形態学的・分子系統学的な特徴は、ISP2培地および炭素源として0.3%グルコースを含むYeast Nitrogen Base (YNB)培地を基本培地として用いて解析した。分子系統解析は16S rRNA遺伝子配列を用いて行った。【結果】P311-7株は細胞が糸状形態を示すグラム陽性細菌で、Actinospica acidiphilaと94.8%,Actinospica robiniaeと94.4%の16S rRNA遺伝子配列相同性を示し、Actinobacteria門のActinospicaceae科に所属することが示された。P311-7株の生育pH範囲はpH 3.5-6.0(至適5.0-5.5),生育温度範囲は15℃-40℃(至適30℃)で、NaCl範囲は0%-1.5%の生理学的特徴が確認された。カタラーゼとオキシダーゼ活性は陽性であった。P311-7株の主要呼吸鎖キノンはMK-9(H6)とMK-9(H8)であった。ペプチドグリカンのジアミノピメリン酸はmeso-A2pmで近縁種であるA. acidiphilaとA.robiniaeのmeso-3OHとは異なっていた。主要な細胞脂肪酸はi-C16:0、ai-C15:0およびC16:0であった。GC含量は70.9 mol%であった。以上の結果に基づき、P311-7は属レベルで新規なActinospicaceae科細菌種であると判断し、新属・新種として記載報告する予定である。