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山形県飛島沿岸海水および海藻に生息する放線菌の探索
○堀 翔太1, 羽田 来留美2, 入江 佳奈2, 服部 聡1,2
1山形大院・農, 2山形大・農
【目的】海水には多種多様な微生物が生息していることが知られている。同様に、海藻にもその細胞内外に微生物が生息しており、海藻‐微生物間で共生関係を形成しているものも存在していることが報告されている。しかし、海水および海藻に生息する微生物の中でも、有用細菌として知られる放線菌に関する知見は多いとはいえない。そこで本研究では、山形県飛島沿岸海域の海水および海藻に生息する放線菌を対象として純粋分離を試みるとともに、その多様性を明らかにすることを目的とした。
【方法】海水およびモズクなど数種類の海藻を採取し、これらを試料とした。海藻は海水に由来する微生物の混入を防ぐため、滅菌した人工海水で洗浄したのち、DNA抽出と培養に供試した。海藻からDNAを抽出する際は、無菌環境下で液体窒素を用いて破砕したものを用いた。また、海水は無菌的に減圧ろ過・濃縮したものをDNA抽出と培養に供試した。それぞれのDNAを鋳型として、放線菌16S rRNA遺伝子に特異的なプライマーを用いたクローニングにより塩基配列約640 bpを決定し、相同性解析を行った。また、海藻および海水試料それぞれを段階希釈したものを放線菌選択的平板培地に植菌し、分離株の取得を行った。
【結果および考察】採取した海藻のうち、モズクに生息する微生物から放線菌の菌叢解析を試みたが、これらに近縁なクローンは見出されなかった。そのため、モズクに生息する放線菌は極めて少ないか、生息していない可能性が考えられた。現在、他の海藻種の解析を行うとともに、それらから得られた分離株の解析を行っているところである。一方、海水中の放線菌を対象として菌叢解析を行った結果、放線菌門のAcidimicrobiia綱およびActinobacteria綱のそれぞれに属す多様なクローンが検出された。これらのことから、海水中には多種多様な放線菌が生息していることが示唆された。実際に、海水試料から培養により様々な放線菌分離株を取得することができた。これらの分離株の中には新規の放線菌も含まれていたことから、海水は未知の放線菌を取得する上で有力な分離源であることが考えられた。