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演題詳細

P-063:
GHOSTXを搭載したMAPLE 2.3による生理・代謝機能ポテンシャルの評価
○荒井 渉1, 谷口 丈晃2, 竹本 和広3, 守屋 勇樹4, 五斗 進4, 高見 英人1 1海洋研究開発機構・海底資源, 2三菱総研・生活, 3九工大・生命情報工学, 4京大・化研 w-arai@jamstec.go.jp
我々は、微生物、および微生物生態系の持つ機能ポテンシャルの解明を目的として、ゲノム・メタゲノム配列からの生理・代謝機能評価するシステムMAPLE(Metabolic And Physiological PotentiaL Evaluator)を開発し、2013年末からGenomeNet(http://www.genome.jp/tools/maple/)を通じて公開している。本システムが生理・代謝機能のデータベースとして用いているKEGGモジュールは、KEGGパスウェイマップをもとに定義されており、複数のオーソログ遺伝子(KO:KEGG Orthology)から構成されている。MAPLEシステムは個別ゲノム、環境メタゲノムなどから得られた遺伝子セットを対象として、KEGGモジュールへのマッピングおよび、そこから得られるモジュールの充足率(MCR)に基づく生理・代謝機能の評価するツールである。この基本的機能に加え、MAPLE2.3では各代謝機能を担う生物種の割合、充足されたモジュールのabundanceの違いに基づく代謝機能バランス、統計的有意性(Q-value)についても評価を行うことが可能となった。したがって、本システムを用いることで、微生物コミュニティーを構成するバクテリアとアーキアの比率やphylumレベルの生物種分類をはじめとして、環境中にある生理・代謝機能ポテンシャルとそれを担う微生物種、各機能のabundanceなどをハイライトし、異なる環境間での比較を容易に行うことができる。また、複数の大規模配列を用いる場合に問題となる計算時間に関して、検索エンジンをBLASTからGHOSTXに変更することにより以前と比べ約1/2以下まで短縮することができた。本発表では、Global Ocean Sampling project から公開されているサルガッソー海域及びガラパゴス諸島周辺海域の海洋メタゲノム配列(各サンプルおよそ120万リード)を用いた比較機能解析を例として、MAPLE 2.3の概念と使用方法、解析結果について報告する。
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