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演題詳細

P-065:
次世代シークエンサと培養法による細菌叢の比較
○福永 栄, 河西 英一, 上野 俊一朗 株式会社IHI sakae_fukunaga@ihi.co.jp
近年、微生物の分子生物学的解析手法が発展し、培養法では検出できない系統を含む微生物群集構造が明らかになりつつある。しかし、代謝系など機能に関する情報を得にくい、PCR処理の過程で材料には実在しないキメラDNA配列が形成される等の課題も残っており、コロニーから菌を単離して生理学的性質を調べられる培養法も捨てがたい面がある。演者らは、再生可能エネルギーの一つとして期待されるバイオマス燃料のうち木質ペレットなど固体燃料の製造・供給において、燃料加工、保管等の過程で材料内部に内包される細菌叢の変遷を調べる機会を得た。この各工程のサンプルを破砕したのち次世代シークエンス(NGS)解析および培養法で調査し、細菌叢がどう変遷しているか、また二つの調査法による結果の違いについて考察した。方法の概要は以下のとおりである。1)NGS:DNA抽出後、341f-806rをプライマーに使用しPCR増幅を行い、次世代シークエンス装置としてMiSeqTM(Illumina, USA)を用い、16SrRNA遺伝子のV3, V4領域をペアエンド法によりシークエンシングし、データベースRDP MultiClassifier ver.1.1で解析した。2)培養法:R2A寒天培地で好気および嫌気条件下で形成されたコロニーのうち形態的に優占しているものからDNAを抽出し、PCR増幅、シークエンス、テクノスルガ・ラボ微生物同定システムDBによる16SrDNA部分塩基配列解析を行って既知株との相同性を検索した。NGSの結果では、各サンプルに共通して優占している系統がある一方、より多様な系統を含むサンプルもあった。培養法で形成された12コロニーの相同性検索から推定された系統は、すべて、同じサンプルをNGS解析して得た主要な目に属していた。このバイオマス燃料の細菌叢については、次世代シークエンサ(NGS)解析結果と培養法の結果とが、整合していた。
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