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演題詳細

P-067:
超微量環境DNAからのメタゲノムライブラリー構築に関する技術的検討
○平井 美穂, 西 真郎, 津田 美和子, 高木 善弘, 布浦 拓郎 JAMSTEC m.hirai@jamstec.go.jp
 メタゲノム技術は、微生物生態分野においてもはや汎用的な解析技術と言える。しかしながら、試料採取機会や採取量の限られた試料からメタゲノムを実施するにはいくつかの技術的課題が残されている。例えば、深海試料から回収されるDNAは極微量であることが多く、さらに夾雑物による酵素反応阻害、試料処理過程での生物学的コンタミネーションなどの影響により、汎用的な技術によるメタゲノムライブラリーの構築は容易ではない。
 本研究において、我々は、核酸抽出方法、夾雑物除去、ライブラリー構築方法について検討を重ね、1ng以下の非常に微量な環境DNAより、Illumina社のMiSeqシステムを用い、メタゲノム解析を行うことに成功した。特に、ライブラリー構築においては、1ng以上のDNAからライブラリー作製可能である市販キット「KAPA Hyper Prep Kit」「Nextera XT DNA Library Preparation Kit」「Ovation SP+ Ultralow Library Systems」を対象に、ライブラリーを推奨濃度限界(1ng DNA)以下のDNAを起点としたメタゲノム解析を行い、得られたデータの質を比較検討した。
 この結果、1ng以下の極微量DNAからライブラリーを構築した場合でも、シーケンスデータ中のPCR duplication readとcontamination read (ラボコンタミネーションと推測される微生物由来の配列)の割合が、データ解釈に影響しない程度までに抑えることが可能であることを示すことができた。また、異なるDNA量から構築したライブラリー間においても、全体的な微生物多様性や割合の傾向は類似していることを確認した。なお、本手法を超深海水塊、深海堆積物、海底下掘削試料に適応し、これまでに良好な結果を得ている。
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