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演題詳細

P-073:
自動計測による微生物のサイズ・形状評価―卓上型SEMを用いた微生物の解析―
○尾崎 温美, 和田 祥子, 山崎 映明, 鍵 紀子 ジャスコインタナショナル株式会社
【目的】
走査型電子顕微鏡(SEM)は、光よりも波長の短い電子線を試料に走査させ、放出される反射電子、二次電子等を検出することで試料の表面情報を得る手法であり、微生物の観察・計測にも用いられている。
微生物は、栄養状態等の外的要因や種類によってサイズ・形状が変化するため、SEMを用いてこれらを統計的に評価するためには、複数個体について観察・計測を行う必要がある。そのため、多くのSEM像を撮影し、更に、SEM像毎に写った微生物を一個体ずつ計測する必要があるが、観察対象とする個体数が多い場合や、長さ・アスペクト比といった様々なパラメータによる評価を行う際には、膨大な時間と労力が必要となる。
そこで我々は、SEM像の自動撮影機能を有する卓上型SEMと粒子解析用ソフトウェアを組み合わせることで、複数個の微生物を自動計測できるシステムを考案した。今回は納豆菌を用いて、異なる温度環境下でのサイズ・形状の違いの計測を試みたので報告する。
【方法】
[試料準備]本実験には、市販の納豆を4℃にて2時間静置したものと、その後更に40℃にて2時間静置したものを用いた。それぞれを固定化処理、TIブルー染色液(日新EM社製)による導電処理を施した。染色液の洗浄後、豆の周囲にある粘着性物質を微生物捕集用フィルタ(孔径0.6 μm)に塗布し、超純水にて粘着性が無くなるまで洗浄し、フィルタごと導電コーティング処理を行った。
[微生物の検出]測定にはフェノムワールド社製卓上SEMを用いた。自動撮影機能を用いて、8000倍以上の倍率で任意の範囲のSEM像を複数枚取得した。得られた各SEM像は、背景よりも明るい部分を粒子として認識する粒子解析用ソフトウェアであるパーティクルメトリックを用いて自動解析を行い、微生物の検出個数およびサイズ・形状に関する数値結果とヒストグラムを得た。
【結果】
卓上型SEMの自動撮影機能と粒子解析用ソフトウェアを組み合わせることで得られたSEM像から、数千個以上の納豆菌を自動で検出することができた。その結果、40℃にて静置した場合の方が4℃にて静置した場合よりも長いものが存在し、その割合は検出された納豆菌の1割程度であること、広いアスペクト比の分布をもつことが示された。このことから、微生物を自動的に計測し、多くの個体に対して短時間で様々なパラメータによる比較が可能となり、微生物の生態を解明する研究、生育状況の評価への応用が期待される。
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