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演題詳細

P-077:
東日本大震災の津波浸水による農地土壌微生物群集への影響の長期的解析
○浅野 亮樹, 早川 敦, 阿部 みどり, 志村 洋一郎, 小林 弥生, 稲元 民夫, 福島 淳 秋田県大・生資 r-asano@akita-pu.ac.jp
 東北太平洋沖地震の震央に近い地域で津波浸水した農地において、土壌微生物群集の解析を行い、近くの浸水を免れた土壌との比較を行った。 土壌試料は宮城県東松島市内の浸水を免れた水田(unflooded field: UF)、約2週間浸水した水田(short term: ST)、約2ヶ月間浸水した水田(long term: LT)から採取した。試料は津波浸水の1年後、2年後、3年後、4年後および5年後に採取した。土壌試料の物理化学的な分析を行うとともに、DNAを抽出し、真正細菌に特異的な8F/518Rプライマーを用いて16S rRNA遺伝子断片をPCR増幅、Roche GS junior次世代シーケンサー(秋田県立大学バイオテクノロジーセンター)を用いて配列を決定し、試料間の比較を行った。 津波浸水から1年後には、STとLTはProteobacteria門の優占化、亜硝酸酸化細菌の割合の低下、硫黄酸化細菌、特に耐塩性の硫黄酸化細菌であるHalothiobacillus属の増加が見られ、さらに海洋環境からのみ検出が報告されているMariprofundus属がLTから検出された。また主座標解析の結果、STとLTは、UFとは明確に異なるクラスターを形成した。 STは津波浸水から2年後には亜硝酸酸化細菌および硫黄酸化細菌の割合がUFと同程度になり、主座標解析では細菌群集構造についてUFとの違いが見られなくなった。しかし、LTの細菌群集は、非浸水土壌との違いは小さくなりつつあるが津波浸水から3年後にも異なる構造であり、4年後にも耐塩性の硫黄酸化細菌も検出され、硫黄酸化細菌が多い傾向が見られた。以上より、浸水した土壌の微生物群集は浸水期間や海水および底泥の供給量により異なった影響を受けると考えられる。 現在これらサンプルの津波浸水5年後の細菌群集構造を解析中である。 本研究は秋田県立大学学長プロジェクトでの援助を受けた。
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