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演題詳細

P-093:
真核微生物ラビリンチュラ類の細胞外プロテアーゼプロファイル ~水圏での有機物分解者としてのポテンシャルを探るために~
○大林 由美子1, 高尾 祥丈2 1愛媛大・CMES, 2福井県大・海洋生物資源 obayashi.yumiko.nn@ehime-u.ac.jp
【はじめに】
ラビリンチュラ類は水辺の落葉などに付着してその有機物を分解することが知られており、その分解に、セルラーゼ、リパーゼ、プロテアーゼなどの有機物分解酵素を用いることがわかっている。しかし、水圏、特に水柱における溶存有機物や懸濁粒子態有機物の分解は、主に従属栄養性原核微生物による働きと認識されており、ラビリンチュラ類に代表される腐食性真核微生物の働きはほとんど解明されていない。一方で、外洋を含む幅広い海域からラビリンチュラ類の存在が報告されており、水圏での有機物動態におけるラビリンチュラ類の働きに興味が持たれる。本研究では、ラビリンチュラ類の水圏での有機物分解者としてのポテンシャルを探るための第一歩として、ラビリンチュラ類分離株を用いて液体培地中での細胞外プロテアーゼ活性プロファイルを調べた。
【方法】
ラビリンチュラ類ヤブレツボカビ科の主要10属18株について、対数増殖期および定常期に、細胞懸濁液と培養上清のそれぞれで、17種類のオリゴペプチドMCA基質(アミノペプチダーゼ用5種、トリプシン用10種、キモトリプシン用2種)の分解活性を測定し、各株のプロテアーゼプロファイルとした。
【結果と考察】
全株で、アミノペプチダーゼ型およびトリプシン型の細胞外プロテアーゼ活性が確認された。キモトリプシン型活性はBotryochytrium属でのみ顕著だった。同じ属の株同士では似たプロファイルが見られ、属間では異なっていたことから、属により分解の得意な有機物が異なる可能性が示唆された。
対数増殖期には、アミノペプチダーゼ活性は、いずれの株でもほとんどが細胞を含む画分に検出されたが、トリプシン型活性は、20-90%程度(株によって異なる)が上清画分に検出された。すなわち、対数期のラビリンチュラ類は、アミノペプチダーゼを細胞表面のectoenzymeとして持つ一方、トリプシン型酵素の一部を水中に放出していると考えられる。
定常期には、対数増殖期に比べて細胞あたりの活性が低下する株が多いが、顕著に高くなる株も確認された。また、上清画分の活性の割合がやや高くなる傾向があった。これが、細胞破壊による細胞内酵素の漏出によるものか、生細胞からの放出によるものかは明らかではないが、いずれも水中の有機物の分解に貢献するものと考えられる。
以上より、ラビリンチュラ類は水柱でも有機物分解に貢献しうるポテンシャルがあることが明らかとなった。
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