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演題詳細

P-102:
印旛沼の微生物ループにおけるLimnohabitans属の生態学的役割
○三角 恭平1, 春日 郁朗1, 栗栖 太2, 古米 弘明2 1東大院・工、都市工, 2東大院・工、附属水環境制御研究センター misumi@env.t.u-tokyo.ac.jp
沼内の有機物動態として、溶存有機物を起点とした水圏食物連鎖である微生物ループに注目が集まっている。しかし、この食物連鎖に関与している細菌群の実体については十分に明らかになっていない。そこで本研究では、千葉県印旛沼を対象として、微生物ループを構成する細菌群の探索を行なった。2014 年10 月、2015年6月、10月、2016年1月に印旛沼の表層水を採水し、孔径10 μmでろ過したもの(湖水10)、細菌捕食性の原生生物を除外するために湖水10を孔径0.8 μmでろ過したもの(湖水0.8)、無菌状態にするため湖水10を孔径0.2 μmでろ過し加熱滅菌したもの(無菌湖水)をそれぞれ調製した。初期全菌数が湖水の1/10になるように無菌湖水に湖水10 (Run A)、湖水0.8(Run B)をそれぞれ植種し、採水時の水温で暗所培養した。全菌数をフローサイトメーターで計数し、培養前後の微生物群集構造を16S rRNA遺伝子を標的としたアンプリコンシーケンシングにより解析した。いずれの時期においても、原生生物による捕食圧が残存するRun Aでは、全菌数が増加した後に減少する様子が観察された。一方、捕食圧を除外したRun Bでは、増加した全菌数は一定のまま推移した。全菌数の最大比増加速度、最大比減少速度を算出した結果、それぞれ0.85-2.2(1/day)、0.17-1.1(1/day)であった。最大比増加速度と最大比減少速度との間には正の相関がみられ、特に低水温時に両速度とも値が低くなることが明らかになった。全菌数の推移とアンプリコンシーケンシングの解析結果より、細菌群別の増加量と減少量を推定した。その結果、いずれの時期でもBurkholderiales目の細菌群が、全菌数増加分の40-58%を、全菌数減少分の49-68%を占めていることが示された。また、すべての試料において、増加・減少したBurkholderiales目の中でもLimnohabitans属に近縁な同一のOTUが優占していた。このことから、異なる時期においても、特定の細菌群が微生物ループにおいて生態学的に重要な役割を果たしていることが示唆された。
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