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演題詳細

P-118:
たんぽぽ計画の進行状況:微生物曝露実験と微生物捕集実験を中心として
○横堀 伸一1, 河口 優子1, 橋本 博文2, 林 宣宏3, 東出 真澄4, 今井 栄一5, 今仁 順也6, 河合 秀幸7, 癸生川 陽子8, 小林 憲正8, 三田 肇9, 中川 和道10, 奥平 恭子11, 佐々木 聰12, 田端 誠7, 富田ー横谷 香織13, 薮田 ひかる14, 矢野 創2, 山岸 明彦1 1東京薬大・生命, 2JAXA/ISAS, 3東京工大・生命理工, 4JAXA・研究開発, 5長岡技大・生物, 6東京農工大・院機シス工, 7千葉大・院理, 8横浜国大・院工, 9福岡工大・工, 10神戸大・院人間発達環境, 11会津大, 12東京工科大・保健衛生, 13筑波大・院生命環境, 14大阪大・院理 yokobori@ls.toyaku.ac.jp
高々度での微生物の存在限界の検討と、微生物ならびに生命の起源に関わる有機化合物の宇宙空間での移動の可能性の検討のため、我々は、「日本初のアストロバイオロジー宇宙実験」として、「たんぽぽ: 有機物・微生物の宇宙曝露と宇宙塵・微生物の捕集」を提案した。これは、国際宇宙ステーション・日本実験棟(ISS-JEM)きぼう曝露部において、微生物、宇宙塵その他の微粒子捕集実験と、微生物・有機物の宇宙曝露実験を行おう、と言うものである。6つのサブテーマから構成されている。
超低密度固体エアロゲルを1年以上の長期間曝露する事で、宇宙塵やスペースデブリを含む微粒子を採集する。同時に微生物の検出を試み、地球低軌道での地球由来微生物の存在密度の上限を推定する。また、地上で培養した微生物を宇宙空間に曝露する事によって、微生物の宇宙環境での生存時間の推定を行う。そこから、地球由来微生物の惑星間移動の可能性を検討する。さらに、宇宙塵に含まれて地球に飛来する有機物が宇宙空間で変成する可能性を検討する。同時に新規に開発したエアロゲルの利用可能性を検証する。
2015年5、11月より、ExHAM 1、2号機に「たんぽぽ曝露パネル並びに捕集パネル」が搭載され、ISS-JEMきぼう曝露部にて実験中である。曝露期間を3種類(約1年、約2年、約3年)に変えて微生物と有機化合物を宇宙曝露した「曝露パネル」、並びに有機物含有宇宙塵、スペースデブリ、地球起源エアロゾルなどの衝突捕集を行うための極低密度固体エアロゲルを宇宙空間に曝露した「捕集パネル」(捕集パネルはそれぞれ約1年間の宇宙捕集実験に供され、取り替えながら3年間、3セットの実験が行われる)は、2016年夏期より3年間、実験期間が終了ごとに毎年地球へ回収される計画である。2016年6月に1年間宇宙曝露した「曝露パネル」と「捕集パネル」をISS船内に回収し、2セット目の「捕集パネル」の宇宙実験が始められた。ISS船内に回収された曝露パネルと曝露パネルのISS船内対照サンプルは地上に帰還、引き渡し後、解析担当者にサンプルは分配され、解析を進める。「捕集パネル」はまずエアロゲル等への微粒子衝突状況を解析した後、微粒子並びに微粒子の形成した衝突トラックを解析担当者に分配する。
本発表では、たんぽぽ計画について、そのISS上での宇宙実験の進行状況と、第1回目の宇宙での捕集サンプル並びに曝露サンプルの解析に関する現状を報告する。
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