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演題詳細

P-128:
水田土壌から分離されたメタン生成古細菌によるバイオシリカ形成
海野 裕晃, 矢野 勝也, ○浅川 晋 名古屋大・院生命農
【目的】地殻を構成する元素の28%を占めるケイ素(Si)は、ケイ藻や一部の海綿、イネ科の植物などの真核生物の生育には欠かすことのできないものである。一方で、ケイ酸が大量に溶解する熱水中に生育する一部の好熱性細菌やシアノバクテリアなどの原核生物は、周囲に溶解しているケイ酸を細胞の周囲に析出させる能力を有することが報告されている。これらの原核生物は細胞周囲のケイ酸析出物(バイオシリカ)によって捕食や紫外線などのストレスに対する耐性を得ている可能性が考えられている。湛水条件下の水田土壌中ではケイ酸が溶解するため、水田を生育の場とする土壌微生物もケイ酸を析出させる能力(バイオシリカ形成能)を有する可能性が考えられる。本研究では、水田土壌微生物として絶対嫌気性のメタン生成古細菌を研究対象に用い、水田土壌からの分離株についてバイオシリカ形成の有無を確認するとともに、菌の生育に与える影響についても調査した。
【方法】水田土壌から分離されたメタン生成古細菌Methanosarcina mazei TMAを供試菌株とし、メタケイ酸ナトリウム・5水和物(Na2O3Si・5H2O)を添加した培地で培養し、経時的に培養液中の細胞と析出物の観察・分析を行った。エネルギー分散型元素分析装置搭載の低真空走査型電子顕微鏡により細胞の性状と細胞周囲の析出物の観察と元素分析を、X線分析顕微鏡により集菌した菌体細胞への析出物の観察と元素分析を行った。
【結果】ケイ酸無添加の培地ではM. mazei TMAの培養菌体の細胞周囲にケイ素の析出は認められなかったが、ケイ酸添加培地で生育した菌体の細胞周囲にはケイ素を含む析出物の付着が確認された。加えて、培養液中のケイ酸濃度や培養時間の増加に比例して析出物が増加する傾向が観察され、M. mazei TMAの細胞集合体(aggregate)が大きく生育する傾向も観察された。これらのことから、M. mazei TMA株はバイオシリカ形成能を有しており、水田土壌中においてケイ酸となんらかの相互作用を持ち生育している可能性のあることが示唆された。
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