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演題詳細

P-135:
ダイズ圃場からの収穫期前後におけるN2O発生源の特定と土着ダイズ根粒菌混合菌株利用によるN2O発生削減
○星野 裕子1, 秋山 博子1, 板倉 学2,3, 下村 有美1,4, 王 勇1, 山本 昭範1,5, 多胡 香奈子1, 中島 泰弘1, 南澤 究2, 早津 雅仁1 1農研機構 農業環境変動研究センター, 2東北大・生命, 3現:京都産業大・総合生命, 4現・協同乳業, 5現:東京学芸大・教育 yuko422@affrc.go.jp
[背景・目的] 亜酸化窒素(N2O)は、強力な温室効果ガスであるとともにオゾン層破壊物質で、その排出削減が求められている。農耕地は、N2Oの重要な発生源である。ダイズは、根の根粒に窒素固定菌を共生しており、この根粒が老化し崩壊する収穫前後に栽培圃場からのN2O発生が増大することが知られている。我々は、これまでにダイズ根粒菌Bradyrhizobium diazoefficiensの不均衡進化法で作成した亜酸化窒素還元酵素強化株(nosZ++)を接種することで、根粒崩壊期におけるダイズ栽培圃場からのN2O発生削減に成功した(Itakura et.al,2013)。本研究では、強化株ではなく亜酸化窒素還元酵素を保有する土着根粒菌(nosZ+)の混合株を利用し、圃場からのN2O発生削減を試みるとともに、圃場サンプルの解析により、圃場におけるN2O発生部位を明らかにすることを目的とした。[方法] 2013及び2014年に日本の農耕地から分離した土着ダイズ根粒菌(B. diazoefficiens USDA110グループのnosZ+系統)63菌株の混合培養液をダイズに接種、育苗後、nosZ-ダイズ根粒菌が優占している黒ボク土圃場に移植し、栽培した。圃場でのN2Oフラックスを連続モニタリングするとともに、栽培期間中経時的に根粒を回収した。PCRによりnosZ遺伝子の有無を検定し、さらにRT-PCRによりnosZ遺伝子の発現を調べた。同時期に、圃場より非根圏土壌、根圏土壌、根、根粒を採取し、各部分についてN2O発生ポテンシャルと無機窒素量を測定した。[結果と考察]圃場から採取した根粒のN2O発生ポテンシャルと無機窒素量は、根粒崩壊期に増大するのに対し、非根圏土壌、根圏土壌、根ではこれらは低いままで、根粒崩壊期の圃場からの主なN2O発生源は根粒由来の窒素であることが示唆された。圃場栽培ダイズのnosZ+接種区におけるnosZ+の根粒の割合は、8月から10月にかけて70%以上で、コントロール区に比べ有意に高かった。さらに、この時期、圃場の接種区根粒でnosZ遺伝子が発現していることを確認した。圃場からのN2O発生量は、根粒崩壊期に限るとnosZ+接種区で約30%削減された。土着nos+根粒菌を利用するN2O削減法は有効で、変異株を作成する手法に比べ、世界の多くのダイズ栽培地で実施しやすいと考えられる。
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