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演題詳細

P-143:
低アンモニア条件下での土壌還流法におけるアンモニア酸化菌の動態解析
○金本 美穂, 西澤 智康, 太田 寛行 茨城大学 miho.kanemoto.mk@vc.ibaraki.ac.jp
アンモニアから亜硝酸への酸化はアンモニア酸化バクテリア(AOB)及びアンモニア酸化アーキア(AOA)が担っている。アンモニアモノオキシゲナーゼα-サブユニット(amoA)遺伝子のメタゲノム解析等により、海洋や土壌においてAOAが優先していることが示されてきた。しかし、AOAの分離例は少なくその生態的役割については十分にわかっていない。先行研究において特有のAOAが優先していることが示された自然農法畑地土壌を用いて、200 μM NH4Cl水溶液での連続的に土壌還流を行ったところAOBの優先がみられた。 AOAはAOBの生育限界以下のアンモニア濃度でも生育可能な種が存在することが示されており、本研究ではAOAの集積を目的とし、より低アンモニア濃度で土壌還流を行い、AOA及びAOBの動態解析を行った。畑地土壌25 gを含むカラムに、400 mLの100 μM NH4Cl水溶液を30℃で還流させた。還流液は200~800時間毎に交換した。カラムより採取した土壌、還流液、還流装置中に発生したバイオフィルムからDNAを抽出し、PCRによりAOA-amoA及びAOB-amoAの増幅を確認した。また、土壌及び還流液のアンモニア濃度を測定した。還流開始後1000時間の還流土壌においてはAOA、AOB双方のamoAのPCR増幅が確認されたが、還流液ではAOA-amoAのみのPCR増幅が確認された。このときのアンモニア濃度は還流土壌では98 μM、還流液では検出限界以下であった。AOAは還流液中に分散するが、AOBはアンモニア濃度の高い土壌中にとどまっていたと考えられる。また、還流開始後1500時間のバイオフィルムではAOA-amoAのみPCR増幅が確認された。バイオフィルム中のAOAをさらに集積するため、土壌カラムを取り除き、連続的にNH4Clを添加して還流を行ったところ、1200時間後にはアンモニア消費及びAOA-amoAのPCR増幅が確認されなくなり、バイオフィルム中においてAOAは連続的なアンモニアの供給のみでは生育できないことが示された。今後、微生物群集構造解析を行い、低アンモニア還流土壌系におけるAOA及びAOBの動態をさらに解析する予定である。
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