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演題詳細

P-144:
スイカ畑土壌,谷津田水田土壌からoligotrophicなNitrosospira sp.の分離
○堺 奎介1, 石川 裕士1, 郷原 奏波1, 黒岩 恵1, 磯部 一夫2, 諏訪 裕一1 1中大院・理工, 2東大院農 a12.rnbb@g.chuo-u.ac.jp
[背景・目的]  土壌や海洋といった実環境のアンモニア濃度はアンモニア酸化微生物(AOB)の培養に用いられる濃度より非常に低い。環境中ではoligotrophicなAOMが優占し、重要であると推察されている。本研究では新規性の高いAOMを純粋分離する戦略として,従来法よりも基質濃度が低い培地を設計した。茨城県阿見町大形のスイカ畑土壌,谷津田水田土壌を接種源とし,0.15-75 mMのNH4+を含む培地を用いて,土壌中のAOMをMPN計数した。優占するAOMを限界希釈法を用いて純粋分離した。また,純粋分離株の16S rRNAの全長を解析し,既存株および当研究室でこれまで純粋分離した菌株と比較した。[方法] Suwaら(1994)のC基礎培地(pH 7.6)に,NH4+を0.15, 1.5, 75 mM添加し,それぞれCU, CL, CH培地とした。これらを用いて,茨城県阿見町大形のスイカ畑土壌,谷津田水田土壌のAOMをMPN計数した。さらに,7度の植え継ぎ,限界希釈法を用いた2度の純化を行い,CL培地からAOBを純粋分離した。Heterotrophの混在試験はSuwaら(1994)の方法で行った。また,16S rRNAによる系統解析をForward primerとReverse primerを4種ずつ用いて行い,HC-1株,本研究純粋分離株5株の16S rRNAの全長を決定し系統解析を行った。[結果]  茨城県阿見町大形のスイカ畑土壌,谷津田水田土壌のAOMのMPN計数値はCH培地に比べ,CL培地で3.5-5.8倍,CU培地で6.3-8.3倍とoligotrohpicな培地で高かった。つまり,oligotrophicな培地でAOMが優占した。CU培地では優占株の純粋分離には至らなかった。スイカ畑土壌から3株,谷津田水田土壌から2株のAOMを,CL培地を用いて純粋分離した。当研究室で純粋分離したNitrosospira sp. HC-1株(1),本研究の純粋分離株5株とも16S rRNAの全長(1498 bp)を解読し,いずれの株もNitrosospira属のcluster 3に類別された。本研究で純粋分離した5株はNitrosospira sp. L115株と99%の相同性があった。さらに,HC-1株との相同性が99%であった。これら5株と,HC-1株はそれぞれ畑土壌,水田土壌,森林土壌と分離源が大きく異なる。このことから,培地成分が同一のときは接種源の土壌の性質が異なっていても,同種の菌が分離される傾向があることが示された。以上より新規な株を分離する際,培地組成を変えることが戦略として重要になる。(1)石川裕士, JSME. 2015. PG-099
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