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演題詳細

P-158:
深海底堆積環境におけるメタノールの嫌気的分解
○柳川 勝紀1, 谷 篤史2, 山本 直弥2, 八久保 晶弘3, 狩野 彰宏1, 松本 良4, 鈴木 庸平5 1九大・比文, 2阪大, 3北見工大, 4明治大, 5東大 kyanagawa@scs.kyushu-u.ac.jp
メタノールは揮発性有機化合物の中では研究の進んだ物質の1つである.環境中ではペクチンやリグニンなどのメトキシ基に由来してメタノールが作られ,それらはメタン生成の基質として使われることが知られている.しかしながら,深海底の嫌気的環境下において、メタン生成以外の微生物活動がメタノールの濃度や挙動に与える影響についてはほとんど知られていない.そこで,日本海上越沖で取得された深海堆積物試料を対象に放射性同位体トレーサーを用いた超高感度活性測定法を実施したところ,メタノールが嫌気環境で迅速に消費されていることが明らかとなった.今回の分析では,メタノールから二酸化炭素への分解活性,メタノールを用いたメタン生成,メタノールの同化,水素資化性メタン生成を測定した.これらの比較から,メタノールはメタン生成へ利用されるよりも,二酸化炭素に分解される反応が顕著であることが判明した.一方で,メタノールの総量に着目した場合,培養後に明確な減少は見られなかった.この理由として,微生物がメタノール消費に平行して堆積物中でメタノールを生成していたことが考えられる.本研究は,海洋堆積環境がメタノールのシンクのみならずソースとしても重要であることを示唆していた.
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