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深海熱水活動域での酸化鉄被膜形成に関わる微生物
○牧田 寛子
1, 田中 英美子
2, 菊池 早希子
1, 光延 聖
3, 鈴木 優美
2, 関野 優也
2, 大橋 優莉
4, 高井 研
1
1JAMSTEC, 2神工大・工, 3愛媛大・院, 4静岡県大・院
makita@jamstec.go.jp
世界各地の海洋環境において、酸化鉄で覆われた海底面(酸化鉄被膜地帯)が確認されている。それらは、環境中の鉄を直接的あるいは間接的に利用する微生物により形成された微生物と鉱物(主に酸化鉄)の複合体であり、それらの複合体(酸化鉄被膜)は、鉄利用微生物の生理・生態を理解する上で最適な試料であると考えられている。海洋性の鉄利用微生物は、海洋地殻に含まれる鉄の総量を踏まえると、圧倒的な存在量を誇ることが予想され、光の届かない栄養の乏しい環境での生態系を支える重要な一次生産者であると考えられる。この仮説に基づき、鉄利用微生物の一次生産活動や物質循環における役割が注目されるようになり、近年各地の酸化鉄被膜地帯での微生物調査が実施されている。我々はこれまでに、沖縄トラフ、マリアナ島弧、南部マリアナトラフそして伊豆小笠原孤の深海熱水活動域に存在する酸化鉄被膜の微生物学的調査を行ってきた。本発表では、微生物群集構造解析から予想される、酸化鉄被膜形成に関わる海洋性鉄利用微生物の生態と培養によって明らかとなった新規鉄利用細菌の生化学的性状について報告する。