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演題詳細

P-181:
光受容体を介したMethylobacterium属細菌の光応答の解析
○井口 博之 京都学園大・バイオ環境
【背景】 地球上には太陽から光が普遍的に降り注いでおり、生物にとって光はエネルギー・シグナル・傷害といった多様な意味を持っている。また、昼夜、季節、影の発生に伴う光の量の変動は、周期的および一時的な環境の変化をもたらしている。しかし、これまでの微生物研究において大半の微生物は暗所で培養されており、微生物が光に対してどのような応答を持つのかあまり知られていない。そこで本研究では、微生物の生息場所の中でもとりわけ光を受ける環境と考えられる植物葉上に注目した。細菌の光に対する応答機構と葉上での生理生態を明らかにするため、葉上の主要な微生物であるMethylobacterium属細菌の光に応答する表現型を解析した。
【結果】 M. extorquens AM1を暗所と光照射下(青・赤色蛍光灯)とで培養して、各種の表現型を比較解析した。その結果、光照射下では、液体培養での生育速度が上昇し、バイオフィルムの形成量が減少することが分かった。また、ストレスへの耐性能にも変化が認められた。本菌のゲノムには、BLUFやLOVドメインを持つタンパク質、Phytochromeといった色素タンパク質など多様な光受容体がコードされている。次に、見出した光応答性の表現型がどの光受容体の制御系に属するのか明らかにするため、各光受容体の遺伝子破壊株(11株)を作製して表現型を調べた。いくつかの破壊株では、光照射下でのストレス耐性誘導が起きなくなった。さらに、植物葉上での増殖が野生株より低下した破壊株も見つかり、本菌の光応答は植物上での生育に寄与していると考えられた。
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