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演題詳細

P-183:
光波長制御による微生物マット相互作用の解明
○西田 暁史1, 中川 麻悠子2, 鮎川 翔太郎3, 山村 雅幸1 1東工大・院情, 2東工大・ELSI, 3早稲田大・先進理工 nisida@es.dis.titech.ac.jp
光合成細菌や化学合成細菌、数百種類から成る微生物マットは、その中で基質や光の奪い合いという競争、有機物の生産者と消費者による搾取、酸化還元サイクルによる協力といった様々な形で細菌が相互作用している。その微生物マットの中で影響力のある働きをしている光合成細菌であるが、異なる光合成細菌間では吸光する波長の違いによって棲み分けしている。中房温泉の50-60℃付近に生成する微生物マットでは表面に可視光を利用するCyanobacteria、その下の層にはより長い波長を利用するChloroflexiなどの光合成細菌が利用する光波長によって棲み分けるように存在していることが知られている。自然環境中では前述したように相互作用しながら生態系が形成されているはずであるが、特定の細菌に摂動を与えることは難しく、それらの光合成細菌が他の細菌にどのような影響を及ぼしているかは未知である。本研究では光波長を制御することにより特定の光合成細菌に対してニッチ環境を作り、非光合成細菌の微生物マット内構成比にどのような影響が生じるかを調べた。多様な光合成細菌が生息する中房温泉の温泉中に光照射装置と層状微生物マットを均一化したマットを設置し、様々な光波長(620、720、890nm)を照射することで菌構成がどのように変化したかをメタ16S rRNA解析により調べた。その結果、元の層状マットの多様性は保持したまま、特定の光合成細菌に有利な環境を作ることで、いくつかの化学合成細菌の相対量が増減していることを確認した。
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