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演題詳細
P-220:
真菌類菌糸圏から分離した
Burkholderia
属細菌のキチン分解活性について
○中西 布実子
1
, 高島 勇介
2
, 菊池 義智
3
, 出川 洋介
4
, 成澤 才彦
5
1
茨城大学・院農,
2
東京農工大院・連合農学,
3
産総研・生物プロセス,
4
筑波大・生命環境,
5
茨城大・農
15am213n@vc.ibaraki.ac.jp
Bukholderia
属細菌は,動植物の病原細菌,マメ科植物の根粒菌,そして節足動物の腸内細菌など多様な生態的位置を占める細菌群である.また,イネ苗立枯病菌
Rhizopus microsporus
に内生し,その植物毒素生産に寄与する
B. rhizoxinica
および
B. endofungorum
が新たに報告された.そのうち
B. rhizoxinica
は,菌糸への感染に2型分泌装置を介したキチナーゼの分泌が重要であると考えられている.そこで,本研究では真菌類への侵入能を有する同属細菌の探索を目的とし,まず,土壌菌類および担子菌類の子実体組織より分離した同属細菌のキチン分解活性を試験した.キチン分解活性試験には,土壌菌類および子実体内部より分離した9菌株およびホソヘリカメムシ腸内から分離された2菌株を供試した.また,対照としてキチン分解活性を有する
Chitinophaga
sp. YTM198_Bを用いた.キチン分解活性はコロイダルキチン培地上にNB培地で培養した供試菌株を塗布し,30℃で9日間培養後,ハローの有無により評価した.その結果,担子菌
Boletus
sp.の子実体から分離され,
Burkholderia gladioli
に系統的に近縁な
Burkholderia
sp. BAk2においてキチン分解活性が確認された.
Burkholderia gladioli
はキチン分解活性を有し,抗菌作用を持つことが知られている.一方,
R. microsporus
に内生する
Burkholderia
属細菌に系統的に近縁な
Burkholderia
sp. Rm12_BおよびRm15_Bは,キチン分解活性を示さなかった.また,担子菌
Lyophyllum
sp.の菌糸周囲にバイオフィルムを形成することが知られる
B. terrae
に系統的に近縁な
Burkholderia
sp. ZpA3-9_BおよびZpA3-10_Bも,
B. terrae
KMY02
T
と同様,キチン分解活性を示さなかった.さらに,ホソヘリカメムシ腸内から分離された
Burkholderia
sp. RPE64およびRPE67,それらの姉妹クレードに位置する接合菌
Cunninghamella elegans
から分離された
Burkholderia
sp. OHB30-1_Bもキチン分解活性を示さなかった.本研究でキチン分解活性を示したBAk2に関しては今後,菌糸への侵入過程について詳細な試験を行う.また,
B. rhizoxinica
では,宿主への感染時に2型分泌装置の構成タンパクおよびキチン分解に関わる酵素をコードする遺伝子発現の上昇が確認されている.そこで,今回キチン分解活性が認められなかった10菌株の
Burkholderia
属細菌についても,真菌類の存在下においてキチン分解活性を示す可能性があり,今後検討を進めていきたい.
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