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演題詳細

P-230:
水生植物ウキクサの成長を促進する新規Acidobacteria門細菌F-183株とTBR-22株の生理性状および共生的機能の解析
○米田 恭子1, 牧野 彩花1, 田中 靖浩2, 遠山 忠2, 森 一博2, 池 道彦3, 森川 正章4, 鎌形 洋一1, 玉木 秀幸1 1産総研・生物プロセス, 2山梨大学, 3大阪大学, 4北海道大学
【背景と目的】植物の成長を促進するPGPB(plant growth promoting bacteria)は植物の生理生態に大きな影響を及ぼすと考えられており、PGPBの生理性状および植物との相互作用の解明は重要な研究課題の一つである。当研究グループでは、栄養価が高く食料やバイオマスとしての利活用が検討されている水生植物ウキクサに着目して、ウキクサのPGPB探索と植物成長促進機構の解明を行っている。本研究では培養頻度が低い系統群として知られるAcidobacteria門に属する新規PGPBを2株発見し、その生理性状およびウキクサに対する植物成長促進効果(PGP効果)を解析した結果について報告する。
【方法】野生ウキクサの根および葉状体試料から、低栄養性の平板培地を用いて微生物を分離し、16S rRNA遺伝子配列に基づく分子系統解析を行うとともに、無菌ウキクサとの共培養に供してPGP効果を評価した。PGP効果については、ウキクサの葉状体数およびクロロフィル含有量について無菌対照区および既報のPGPBであるAcinetobacter calcoaceticus P23株と比較することで評価した。
【結果と考察】野生ウキクサのSpirodela sp.およびLemna sp.の葉状体よりそれぞれF-183株およびTBR-22株の2株を分離した。分子系統解析の結果、両株はAcidobacteria門細菌であり、F-183株はSubdivision 3、TBR-22株はSubdivision 6に属することが分かった。F-183株とTBR-22株を様々なウキクサ亜科植物(Spirodela属、Landoltia属、Lemna属、Wolffia属)と共培養したところ、無菌対照区に比べてウキクサの葉状体数を約2倍に増加させるとともに、クロロフィル含有量を約3倍増加させる効果が見られ、P23株を上回るPGP効果を示した。これまでよく知られているPGPBは陸上植物のものであり、Proteobacteria門やFirmicutes門、Actinobacteria門に属している。F-183株とTBR-22株は、これまでほとんど知見のない水生植物のPGPBであり、また既存の陸上植物PGPBと系統が大きく異なるAcidobacteria門細菌に属していることから、植物に対して何らかの新しい共生的機能を持つのではないかと考えている。
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