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演題詳細

P-246:
放線菌由来ウイルス様粒子による広宿主域水平遺伝子伝播
○鈴木 誠治1, 于 飛1, 今田 千秋1, 千浦 博2 1東京海洋大・院, 2東京大・大気海洋研 sesuzuki@kaiyodai.ac.jp
近年の急速な遺伝子解析技術の進展は,生物ゲノム構造を俯瞰し進化の道筋を遺伝子レベルで知ることを可能にしたが,ドメイン(真正細菌,古細菌,真核生物)を越えた遺伝子伝搬は如何に行われてきたのだろう.従来の形質転換,接合,形質導入などのHGT概念はその説明には不備と考え,『広宿主域な遺伝子伝達粒子(Vector Particle:VP)』という新たな粒子に着目し,それが系統的に遠い種に遺伝子伝達能を持つことを報告してきた.
VPは電顕確認を要するが,形質導入体から同様の性格を持つ娘粒子を出芽生産し連続形質導入を行う.
1,4-ジオキサン(DO)を唯一の炭素源として資化する放線菌Pseudonocardia dioxanivorans CB1190株(JCM13855)を27℃でグルコース,DO添加アンモニウム無機塩培地(Parales et al., AEM. 1994 60:4527-30)で定常期まで培養(3.0E+08 cells/mL)した0.22 μmろ過上清に1.9E+09 particles/mLのSYBR Gold 染色性ウイルス様粒子(CB_VLPs)生産を,放線菌から初めて認めた. VLPは長卵,亜球,不定形を採り,径50~300 nmに分布し100 nmを超えるものが7割超で,可搬dsDNAはColi Phage T4基準で28.8 Kbp~5.4 Mbpとなる. CB_VLPsの遺伝子伝達能を検討するため,栄養要求性突然変異株Escherichia coli AB1157[F-; thr-1 leuB6 thi-1 lacY1 galK2 ara-14 xyl-5 mtl-1 proA2 his-4 argE3 rpsL31 tsx-33 supE44] に多重感染度0.7~20(27℃,30’)で感染させ,受容菌致死効果(EOP)とアミノ酸要求性復帰を指標として検討の結果,致死効果は観測されず,選択標識に復帰形質導入株が7.2E-07 CFU/VLPの頻度で生じ,arg標識で選択された全て(53 CFU)が非選択標識hisに対して完全な連鎖を示した.因みにCB1190ゲノムでのarg-his標識間距離は27 kbpである.このようにCB_VLPは系統的に門を超えるHGTが可能であり,VPとして生物環境適応と多様性創出とに寄与しているだろう.
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